逃げるショパン

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演奏をする際、その楽譜に書かれていることを読み取るために作曲家のことは調べる。もちろんのこと。音楽辞典や音楽書を通して。音楽家の、作曲家の伝記や小説は趣味じゃない。根拠もなく…。ましてやショパンなどは…。本屋さんで”それ”を目にしたときも手にとることは躊躇われた。その躊躇った直後、ビアニストの青柳いづみこさんがその小説に触れている本を読んだ。平野啓一郎の"葬送"。今度は躊躇わずに購入した。しかし、そこから思いもしなかったショパンの複雑な網に引っ掛かった。そんな気分。

まず、慌てず(結局はいつも通りに慌ててるのですが)確認して上・下巻を購入。まだ深い迷路に入ることなどしらずに。そして長崎へ次の日に持参。その際、手に取ったのが下巻なので、横にあったもう一冊を持って。
大学に着いて開いてみると…妙な始まり。"そうやって…"みたいな感じ。何がそうやって?なの?なかなか自分の今の状態が理解できない。
結論として"あぁ、やっぱりうっかりして下巻を持ってきたんだ。あれだけ確認したのに" でもおかしいなぁ…
まだこのblogの編集者は気づいてない。とてつもない蟻地獄の始まりということを。
帰宅し直ぐさまもう一冊の鎮座ましますとこへ行ってみる。編集者は自らの目を疑った。それも下巻…。
確かにただのうっかりであり編集者には不思議なく起こりうること。だからこそ若干落ち込んでみた。
しかし名案が!"Rちゃんに送ってあげよう。そのために間違えたんだ"と妙な風に納得させてみた。そして自らは再度本屋に赴き、上巻を購入。その際、店員さんに自分の間抜け話をしてみるというおばさん有りがちな展開。しかしその際恐ろしいことに気づくことになった。知らなかった。買ったのは、いえ、買ってたのは第1部。ゲゲッ…第2部が当然のように上巻・下巻、笑顔で並べられていた。こんなに壮大だったんだ…。
やはり理由は違うが最初に躊躇った感覚を信じておくべきだったか…。しかし後戻りはできぬ。だって、下巻はうちにあるし、Rちゃんにあげといて先生放棄なんて。

そんなこんなで漸くショパンの世界へ突入。小説はショパンの肖像画を描いたことでも有名は画家ドラクロワとショパンという二本柱で進んでいく。読み進むうちにまず作家である平野啓一郎の技量に脱帽。ドラクロワに語らせるまるで恩師、山岡優子先生が言ってらしたことそのままの芸術論や芸術家としての煩悶や迷い。手にとるほどわかる焦り。そしてショパンの心の葛藤や作品にたいする造詣の深さ。
と、いいたいことは沢山だがその前にまだ終わらぬ蟻地獄続編。
第1部 上巻・下巻を無事読み終え、再度本屋さんに赴き第2部上巻・下巻をまとめて購入。どうせ読むんだから…あぶないっ。で上巻を読み終わるあたりから何かしら不安になり下巻を捜す。
しかし…あー、どこへ?いずこへ?ありとあらゆるところをひっくり返し叩いてみて探すも雲隠れ。ゆうに一週間はうろうろ。出だしから翻弄され、やっと我が物にと思うまもなくまた手元から摺り抜けていく憧れのかの人。弾けば弾くほど掴めなくなる彼の作品のよう…と宿命のようなものを感じ諦め始めたころソファーの後ろ、壁に挟まれてドサッ…ごめんなさい。
この蟻地獄、私のうっかりと早とちりとかたずけ知らず、ただそれだけのことでした。
by mamopy26 | 2010-09-15 21:22 | 音楽について雑記 | Comments(0)